ホーム>物理・数学のページ>1.数学の基礎>1-10.四元数の計算規則 |
今回は、前回導入した四元数の計算がどのように行われるのかということを見ていきましょう。四元数の3つの虚数単位どうしの計算規則から、四元数の計算規則を導いていきたいと思います。また、複素数と同じように共役・絶対値が定義できることを確認します。また、四元数を用いた場合に方程式がどのようになるか、ということについても若干の注意をしておきたいと思います。
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和と差については、各項ごとに計算すればいいので簡単です。
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またここに出てきた右辺の実数を、三平方の定理を踏まえれば四元数の「長さ」とみなしてよさそうです。これを絶対値といい、
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まずは、積の逆元を求めます。つまり、0でない四元数に対して、
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これを持ちいれば、
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以上で、四元数に関しての和・差・積・商が定義でき、すべて四元数の中で閉じていることが確認できたと思います。
いま四元数に関する方程式
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このように四元数では「代数学の基本定理」が成立しない。そういう意味ではすこしやっかいです。
今回は四元数の基本計算だったので少々退屈だったかもしれません。四元数において、複素数の拡張として四則演算を定義できることを確認したわけですが、とくに積のところは計算が複雑です。これが何を表しているのかなかなかイメージがつかみにくいかもしれません。次回は、この四元数の積に注目して、ベクトル演算との関係を用いて四元数の計算を見通し良く行う方法を見ていきたいと思います。また、それの応用として、逆にベクトルでは複雑になりがちな三重積を四元数を用いて計算してみたいと思います。